その夜、少年の世界が歪んだ
        目の前の出来事を理解することができなかった
        
  
    
        みんなで笑った、大好きだった家が焼けては消えていく
        涙で視界が歪む中、遠くに「兄」の背中が見えた
        
        兄さん、どこへ行くの?
        父さんはどこ?母さんはどこ?
        
        何度も叫んだ、何度も「兄」の名を呼んだ
        
        
        どうして?
        
        
        少年は笑いながら泣いていた
        目の前の背中が、振り返ることはなかった