「クリスマスは、俺が一番好きなイベントなんだ」
        「そう、なのか?」
        「あぁ!とっても綺麗だろう?」
        
        確かに、綺麗だ
        
        今まで、”クリスマス”などとは無縁の暮らしをしてきた俺にとって、
        こんな世界があったとは、夢にも思わなかった
        
        目の前で、緑の髪がふわりと揺れる
        主のロディは、いつにも増して楽しんでいるようだ
        
        「ハッカイ」
        「なんだ?」
        「一緒に、踊らないか?」
        「……アンタはいつも突然だな」
        「はは、気分が高揚して、つい薄着のまま飛び出してきてしまったからな。
        寒いだろう?動いたら、少しはマシになるぞ」
        「……」
        
        正直俺は、そういったことが得意ではない
        習ったこともなければ、やってみようと思ったことすらない
        
        国の兵器として育てられた俺は、戦うことしか知らなかった
        
        「……わかった。踊ろう」
        「ほ、本当か!」
        「なんだその反応は……」
        「君はクールだから、バッサリ断られるかと思っていたんだが……」
        「……フ、どうやら俺も、アンタに負けないくらい気分が高揚しているらしい。
        だが、俺には踊りの経験がない。覚悟をしておいてくれ」
        「ははは、楽しかったら、それでいいさ!」
        
        
        主は俺に、思い出をくれた
        
        一生忘れられない、特別な日だ